2017年1月句会報告

 1月25日、レイバーネット川柳班月例句会が、神楽坂のスキャットセミナールームで開かれました。今月の投句者数は23人です。兼題の「いのち」に62句、自由吟に58句が集まりました。選者は11人(うちメール参加 2名)、各3句ずつ選びました。2016年10月27日初投句された方の川柳も選ばれました。ぜひ続けてください。また、川柳で気をつけないといけないところの報告ですが、かぎかっこ「」は、よほど重要でないかぎりつけない。スペースを開けないで575をつめて書いてください。よろしくお願いします。
 兼題の、「いのち」には、沖縄、福島、報道、PKO、共謀罪、年金等の、様々な川柳が集まりました。とくに、日本政府によって強行につくられている沖縄の基地に非暴力で反対している人に対し、東京МXTVで、うその報道、誹謗中傷をながしたこともあり、沖縄についての川柳が多かったです。オスプレイ墜落に対する句に対して素早い反応がありました。
自由吟は、真珠湾を訪問した安倍首相が、南京大虐殺について言わない批判、少女像から女性問題をはばを広く見る視点の句、沖縄、福島、共謀罪と、兼題「いのち」と同様、今の政府、社会に対しての懸念、批判にて、意見も活発にとびかいました。
 選句されなかった方も、川柳のページに掲載され、共感する方もいますのでぜひ次回もチャレンジしてください。次回の選句会は2月23日(木)18:30〜21:00です。会場はスキャットセミナールームです。兼題は「共謀」、投句〆切は2月16日24時です。兼題、自由吟、各3句まで。(報告=温空)

★「いのち」62句

●5点句1句

米軍がわがもの顔で墜ちていた     中仁也
 →今の時期に書くのがタイムリーだった。わがもの顔の表現は状況がよくうかぶ。

●4点句1句

この人に渡したくない核ボタン     なずな
 →素朴でひねりに乏しいが、実感ではある。たった一人の利権で核ボタンを押すトランプ大統領を思わせる。

●3点句1句

三面記事生きたかったという命     乱鬼龍
 →そこに生きたかった気持ちがにじみでている。命の大切さ、戦(いくさ)、いじめ等。三面記事をもっと見ないといけないと思った。

●2点句5句

早死には年金値切りの思うツボ     苗苗
 →長生きするのも闘いだ。 年金をとるだけとってあとは知らないがよくでている。

共謀罪話すだけでも命がけ       一志
 →タイムリーで端的。まさに今の時代をあらわしている。

雑巾のようにいのちで除染させ     笑い茸
 →命がぞうきんがわりにされている。いのちで除染という表現が効いている。

靖国がアフリカ帰りをお待ちかね    へらずぐち亭誤字脱字
 →軽い口調が川柳的。南スーダンにし、帰りをの、を、をとるとよりわかりやすい。

原発の寿命を延ばす無資格医      木根川八郎
 →規制委のデタラメを鋭く衝いて痛快。規制委を無資格医にたとえたのがよい。

●1点句11句

地球より重い命がシャボン玉      乱鬼龍
 →シャボン玉というのが対比として、おもしろい。シャボン玉は反戦歌であった。

勝つまでは命どぅ宝屈しない      笑い茸
 →本当にその通り。説得力がある。

線量に残る命を寄り添われ       奥徒
 →線量に寄り添われるという表現が面白い。

おしつけて沖で縄して殺すのか     温空
 →おもしろい句だが、こわさがある。

いのち賭し沖縄守るあまたの士     白眞弓
 →話を聞くとつきることがない。沖縄と連帯したい。

死刑囚朝の靴音身を縮め        なずな
 →本人たちにとっては日々の問題。

老人のいのち下流に溢れだし      一志
 →老人の下流化という世相を言い得て妙。子供たちも危うい時代。老人の孤独死も問題になっている。

墜ちていた破片を拾う海生きて     中仁也
 →破片を落とされてまで、生きていかないといけない矛盾が表現されている。

人身御供今日も資本に差し出され    乱鬼龍
 →命を人身御供にしたところがよい。

シアンヒ素ベンゼン味で召し上がれ   中仁也
 →うまく言葉をくみあわせた。すごく、するどい批判タイムリー。

盗み見たカルテの余命三日前      木根川八郎
 →カルテを見たら余命〇か月と書いてあったが、その日は過ぎていた。複雑な思いを表す。

★乱鬼龍選

この人に渡したくない核ボタン     なずな
老人のいのち下流に溢れだし      一志
雑巾のようにいのちで除染させ     笑い茸

★選外43句

期待され過密労働心刺し
基地隠し真珠飾りの刃見え
濃い汚染豊かな田畑草茂り
政治家が絶った弱者の命綱
政策で振り分けられた命たち
民を見ず党首命の議員たち
たとえれば職場の戦死過労自死
報道の命をかけたカメラアイ
重いという命あっさり奪われる
票田へ秘書が命を撒いていく
国民の命が軽いアベ政治
自衛官命短し恋せよ乙女
世の中で価値なきものは命なり
いのち綱年金削り首を絞め
高齢者きょう元気と感謝する
いのちある限り闘う明日がある
地球より重い命は死語になり
地球上人命だけは冷え続け
東電は避難ついでに死ねと言い
この一瞬今日より若い時はない
母さんをかえしてほしいもう一度
滅ぶより生きる命の美しさ
考えよ命は大事安倍総理
いのちある星にある核深き闇
安保法命の値段軽くなる
私は会社の命知りません
いじめっ子の命私は知りません
いのちにも格差があるとニュース結う
見つめてる幾千万のされこうべ
ムダ死にで国に従う兵士たち
命すて会社変えた労働苦
ゴミのよう拾うも捨てるも命なり
我が身こそ大事イノチと言うよりも
血の色も心見ろここもろイノチ(回文)
一月十七日生 ( あ ) れし意味問う二十二歳
いのちかつぐ重さ知らないわが首相
酒たばこ重ね重ねて命乞い
年賀状段々薄くなってくる
変わりない命が国で違くなる
沖縄はアメリカよりも軽くなる
厳冬のその先にある補助打ち切り
炊き出しに子供食堂国庫外
沖縄の生きものたちは私たち

★「自由吟」58句

●5点句1句

南京は忘れたままの真珠湾       奥徒
 →地理的イメージが広がる。日中戦争を、すっかり忘れてる安倍首相。

●4点句1句

年明けて去年のまさかと向かい合い   しゃねる
 →めでたくない新春を巧みに詠んだ。「去年のまさか」がうまい。中八であることと「向かい合い」という表現の甘さが残念。斗周流改作→「昨年のまさか今年はマジかよぉ」

●3点句1句

着々と皆不幸への法整備        芒野
 →肯定的なニュアンスを持つ「着々」が不幸をもたらすという皮肉な見方。

●2点句3句

沖縄を踏みつけ福島こけにする     乱鬼龍
 →戦争と原発を簡潔に表している。

議事堂が国の最大汚染源        笑い茸
 →なるほどと思わせる。悪事の生産拠点。最大の汚染源といったのがよい。

初雪に子どもの姿見えぬ街       やせ蛙
 →福島を思い出し悲しくなった。お母さんと子供が一緒に外で遊ばなくなった。

●1点句15句

共謀罪手を変え品変え議会掛け     白眞弓
 →タイイムリーそのまま。

狂暴な時代が来るぞ共謀罪       乱鬼龍
 →すごく勢いがあるダジャレ。

ゴーマンで過去を消すのと少女の眼   奥徒
 →ゴーマンは漢字のほうがよかった。

指先に翻弄されるこの地球       なずな
 →今やトランプ大統領は指先でなんでもできる。

人の死を「事故の遅れ」と流す駅    笛P龍
 →かぎかっこは、よほどのかぎり入れないほうがよい。そこには一人の命がかかってる。

政治家が定説作る歴史学        苗苗
 →政治家がいうがまま。歴史的に日中戦争のあやまちを知らない人がいる。

中がなく上と下だけの国になり     一志
 →中流に食わせるものがない社会が見えている。

アメリカと二重国籍安倍総理      里見羊
 →蓮舫氏の二重国籍を、いまだ叩かれてるのはなんなんだ。

謝っていればとっくに済んだこと    斗周
 →慰安婦問題の核心をずばり。

すがる手を振り払う気のジャンパーだ  芒野
 →神奈川県生活保護課の不祥事。今の川柳として詠んだのを評価。

日本よさあ滅びろと再起動       へらずぐち亭誤字脱字
 →日本が滅びるのは原発と戦争だ。恐ろしい。

国産米さえも米国産に見え       中仁也
 →「国産米」「米国産」が似ているという面白い発見。「さえも」という表現に難あり惜しい。

沖縄の声より利権族の声        おおとり
 →多数派の声より悪のほうが強いナンセンスの表現がいい。

年金の消える噂も七十五        奥徒
 →人の噂も75日とかけたのがよい。

少女像畏れる奴が戦争屋        一志
 →少女像を嫌がる人は、戦争をしたい人だという事が短い言葉でよくわかる。

★乱鬼龍選

着々と皆不幸への法整備        芒野
人の死を「事故の遅れ」と流す駅    笛P龍
年明けて去年のまさかと向かい合い   しゃねる

★選外37句

価値観の違い纏(まと)める九条愛
日本は偽善と博打歩き出し
痛み分け響きはいいが総崩れ
また選挙またお決まりの絶叫句
ドイツなら跪いてる少女像
豊洲でも揺るがぬ証拠汚染水
事故現場花に記憶を刷り込ませ
また一歩明治に近づくアベ政治
美人の湯鏡見るから嘘になり
昔ならとっくに死んでる歳になり
めでたさのかけらもないさおらが春
九十歳ベストセラーで生き延びる
戦争の前は必ずニューディール
女子力がMXで低下した
警察の OB ジャンパーなめんのか
トランプもエースがなけりゃババぬけん
政権の押し売る品は原発か
未来志向なおしがみつく明治かな
子の向ける銃口捕虜へ明日は闇
私はあなたの子ではありません
くまモンと水俣病と恵楓園
人様の移住の世話はできません
多喜二から三歩で忘れるキョーボーザイ
富裕層企業に負けず多国籍
ストリープ日本におくれ爪の垢
ドナルぞの声にしんぞう弱る日々
親分に不戦を誓う真珠湾
年号でまた売れそうな計算機
最愛の夫を亡くしペットロス
片隅に苛立つ我の戦争観
悪いヤツ病ならずに己伏す
次へより飲んで管巻く反省会
格差社会へあかんべいするヤジロベエ
歩かずに食べると怒る万歩計
特高も大本営も今も生き
乾杯の酒は連帯泡盛で
政権が菊の威借りる宮活用

以上