2018年11月句会報告

 11月句会は、11月5日(水)池袋エポック10で行われ、8名が参加した。
この日は、現在制作中の『反戦川柳句集』の校正・検討をみんなで1時間半ほど行ってから、句会となった。
投句者は16名で「食」が43句「自由吟」が46句だった。選句者は句会参加者8名+メール参加4名の計12名で一人3句ずつ選んだ。
いつもより句会の時間は短めだったが、効率よく選句・選評・意見交換を行った。なお12月はレイバーフェスタがあるので句会はなし。
年内の活動としては、「句集の完成・普及、フェスタの投稿集め・選句」などが中心になる。(報告/一志)

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*「」は選句者のコメント。乱鬼龍選に乱さんのコメントを付けました。

★「食」(43句)
●6点句
・メニュー見るポッケの中のワンコイン   笑い茸
「切なさが漂う。500円さえ贅沢かも」「ポケットに500円玉一枚しかないわびしさ。今の私の姿です」

●5点句
・汚染水魚が飲んで人が食う        里見羊
「飲む・食うのリズム対比がうまい」「さほど目新しくないが、わかりやすくスパッと言ったところを評価」

●4点句
・食糧を乞う難民に武器与え        笑い茸
「戦争したがる人は自分の手を汚さない」「今の現実を一角を鋭くとらえている」

・世界から祭り集める菓子業界       白河真舟
「バレンタインハロウィンなど祭り多すぎ。踊らされている消費」「甘い言葉に乗せられた我が身を反省」

●3点句
・十年もたたずベクレル何のこと      なずな
「さらっと深刻な問題を描いているところがいい」「事故の風化は食べものにも表れている」

・餓死もある世に盛んなるダイエット    斗周
「地球の裏と表、はっと気づかせる句」「餓死する子供たちがいるのにいわゆる先進国ではダイエットにくるしむデブたちがいる。私も反省」

●2点句
・夕食もファストフードの食文化      中仁也
「私の周辺にも子ども・独居老人など多い。今の日本の風景を切り取っている」「老妻が長期入院しておりファーストフッドの宅配、インスタント食品の毎日。なんと豪華で文化
的な食生活だろう」

・自動車を守るためにか食をすて      里見羊
「どっちが大事なのか考えさせられる」「日米交渉で農業差し出すことだが、そうですか川柳的な感じもある」

・食材を輸入で作る和の風味        奥徒
「和食も輸入品という皮肉が効いている」「まとまりという点で採ったが内容的にはすでに言い古されたこと」

●1点句
・食卓はマックチキンのエサ文化      中仁也
「ほんとうにそうなってしまった」

・難民と飢えに世界は目をそらし      奥徒
「難民が3000キロ逃げ歩いた先にあるアメリカの凶器、それに無関心な恐ろしさ」

・世界一市場破壊し駐車場         芒野
「築地市場をオリンピックにつかう利権」

・沖縄を食い物にするヤマトンチュー    木根川八郎
「中国や北朝鮮の脅威と言われていたが日本政府のほうが脅威だった」

・廃棄物土用のうなぎ恵方巻        春うらわ
「あらためてコンビニのひどさ・実態を感じる」

・バリバリと山羊に食わせるアベ草案    白眞弓
「バリバリとが面白い。山羊もいやがるかも」

・絶食もメニューに込めて生き延びる    わかち愛
「体験者の悲鳴が伝わってくる」「絶食もメニューのうちという発想が面白い。ただし『込めて』は疑問。『含め』または『入れて』がベターでは?」

・何食わぬ顔で地面師土地を食い      乱鬼龍
「食わぬと食いの表現がうまい」

●乱鬼龍選
・十年もたたずベクレル何のこと      なずな
「フクシマ風化を批判しているが、強い言葉でなくソフトな表現がいい」

・メニュー見るポッケの中のワンコイン   笑い茸
「チャップリンの街の灯の情景が浮かぶ。うまい」

・汚染水魚が飲んで人が食う        里見羊
「汚染の連鎖をきれいに詠んでいる」

●選外句
・新閣僚サンマの味もまずくなり
・廃棄弁当拾って生きて文化的
・新閣僚煮ても焼いても食えぬ奴
・毒入りの豊洲はイヤとまぐろ泣く
・戦闘機子供食堂増え続け
・AIが想定外を食い漁る
・にんげんを強欲資本食いつづけ
・出し殻を食べさせられて出汁飲まれ
・豊洲市場食の安全より利権
・食と職あれば戦争止められる
・一〇パーの高下駄ふらつく衣食住
・トラクター壊れて田畑手放しぬ
・魚屋さん豊洲移転で倒産し
・捕鯨禁止消える日本の食文化
・満腹が幸せならぬ中高年
・食い下がる記者の影薄しぶら下がり
・食べるため働くのです生きるため
・食えずともアベノミクスというホラー
・寿司食ってアベのよいしょが踊り出す
・この星を呪う廃プラ廃棄食
・食レポはもう食べ飽きたテレビ前
・種子法の廃止で視えた自給率
・医食同源その同源がともに病む
・食足りてぬるま湯つかる正社員
・きのこ秋刀魚どれも食べれぬ秋恵み
・風呂めし寝るそんなオヤジは追い出され

★「自由吟」(46句)
●5点句
・文化勲章なんだあんたももらうのか    乱鬼龍
「名誉・勲章とおだてられ悲惨な歴史を忘れ去る」「軽さが面白い」「左翼でももらう人がいる実態を批判」

●4点句
・不夜城のコンビニの裏闇深く       白眞弓
「不夜城と闇の対比面白い」「自分の周辺にコンビニ経営で生活が破綻した実例あり」「不夜城のぶきみさがいい」「北健一さんのベストセラー本を思わせる句。ただ『闇深く』
と連用形で終わるのは句の安定を欠き、呉陵軒可有の時代から好ましくないと言われているやり方。『闇深し』と終止形にするか、『深い闇』と名詞にしたほうがよいのではない
か」

●3点句
・求人は障害のない障害者         なずな
「建前優先のお役所の実態がとてもよくあらわれている」

・名を変えた勤労奉仕五輪ボラ       白河真舟
「被災地支援とはまったく違うボランティア元年になりそう」「そのとおりで戦時中を思い起こさせる」

●2点句
・不起立消え次は学校旭日旗        一志
「さもありなんと思わせる」「不起立教員のたたかいと韓国の旭日旗の話をつなげていてホットだ」

・国会の前にいる気で拳上げ        里見羊
「病気の人、足が悪い人、仕事で時間がとれない人など、国会前に行きたい人はたくさんいる。普遍的で広がりのある句」

・七十を超えて死ぬまで働かせ       奥徒
「私、蛙メも齢七十をこえて手間仕事をさがす毎日で共感する」「安倍のやること許せない。深刻な句」

・要らぬのは生産性のない議員       斗周
「同感。こんなのに税金を投入していいのか」「『生産性』という言葉は差別的感じがしてひっかかった」

・外は雨今日は漏らない靴を履く      笑い茸
「自分自身同じ経験があるので共感」「労働者の実態だと思う」

・生還を祝うどころか責める国       芒野
「自己責任と残酷な言葉を吐く人たち」

・拳あげ国会前の古希傘寿         笑い茸
「自虐の苦笑いがある句。リズム感もいい」「いまの国会前は年寄りばかり。でもかれらの生きがいになっている」

●1点句
・嘘吐きが嘘を貫き本当へ         木根川八郎         
「安倍のことだが嘘も100遍いえばの怖さ感じる」

・伊方待て地震連鎖は終わったか      芒野      
「『伊方待て』の表現がいい」

・沖縄の民意をネグる辺野古基地      木根川八郎
「県知事選、豊見城市長選、那覇市長選に勝利するのはたやすいことではなかったのに、政府の暴挙は絶対許せない」

・人間がデータ化されて消えていく     なずな
「もはやAIに支配される哀れな存在」

・季語消えて俳句つくれぬ避難民      一志
「山も川も山菜も姿はあるのに放射能に汚染されてしまった悲しさ」「わかりにくい感じがある。推敲したほうがいい」

・この国はムンクの叫びのような国     乱鬼龍
「国民みんながムンクのように叫びたくなる惨状。鋭い!」

・これきしの雨にひるまずデモに行く    わかち愛
「そうだ、そうだみんな頑張ろう!」「『これきしの』は自分の強い意志を表現した言葉だから、『ひるまず』ではなく『ひるむか』ならぴったり来る。これきしの雨にひるむか
デモに行く、だったら一票入れた」

・明治百五十年万骨今だ憤怒充つ      乱鬼龍
「そのとおり」

・ウチナンチュ踏みにじられし歴史断つ   八金
「玉城デニーの勝利感じる力強い句」「沖縄だけでは勝てない。多くのヤマトの人たちが今の政府を倒してほしい」

・カローシも捕虜も自己責任という野蛮   中仁也
 *下記、乱鬼龍選参照

・国連に帰還止められ風評と        芒野
「マスコミはほとんど報道しないが重要な国連人権委員会の勧告。もっと知らせたい」

・嘘ついた目にカーテンをスッと引き    笑い茸
「嘘をつくと目に表れる。菅官房長官のことだと思うが面白い」

●乱鬼龍選
・求人は障害のない障害者         なずな
「とぼけていて軽く言っているところがいい。川柳ぽい味が出ている」

・要らぬのは生産性のない議員       斗周
「いまの時代性で出ている」

・カローシも捕虜も自己責任という野蛮   中仁也
「破調だが頭句の『カローシも捕虜も』を5文字と数えることができる。今日性のあるいい句」

●選外句
・永田町ブラックアウト闇惑う
・弾圧に負けずにいてね檻の中
・日米で自己責任が闊歩する
・純平と健二の何が違うのか
・増税へアベノミクスの役立たず
・さまよえる魂多く低賃金
・改憲NO大声しずかに吸い込まれ
・アッキーにプレゼントだよ専用機
・地面師に映画化打診ハリウッド
・あっちこちドッチ向いても嘘だらけ
・卓球とパンダが繋ぐ二国間
・生も死もオレの手柄と顔を出す
・新閣僚さあ続々とボロボロがでる
・自己責任あなたのウソも仲間入り
・誤解だとテメェの誤解棚に上げ
・閉ざされたドアの向こうの笑い声
・官邸の座右の銘は自己責任
・原発優先再エネ阻むアベ政治
・暗号に生きる叫びが天届く
・開かれたドアの向こうの深い闇
・純平を折鶴に込め祈る母
・年金は遠きにありと思うもの
・いつの日か出れるかしらとベッドにて

【追記】斗周さんから : 食の「きのこ秋刀魚どれも食べれぬ秋恵み」の「食べれぬ」、自由「いつの日か出れるかしらとベッドにて」の「出れる」というら抜き言葉はいかがな
ものか、と思う。
世間的にはかなり認知されてはいるものの、やはり違和感がある。
しかも、当該の2句は、推敲をすればら抜きを使わなくても十分成立するので、余計そう感じる。
あとは、やはり全体にまだ説明文的な表現が多いなという印象。ひねりが必要だと感じる。

以上