2015年2月句会報告

 2月12日、レイバーネット句会が開かれました。18名が投句、兼題(新聞)に48句、自由吟に47句が集まりました。前回に続いて多数の参加です。
 人質事件、それを奇貨とする安倍政権の暴走に一句で報いたいという皆さんの熱意が伝わってきました。笑いと風刺で権力に抗う川柳が、ますます必要とされている時代を実感します。
 今年中に反戦川柳句集を出したいという班員の希望も出ました。
 選者は10名(うちメール参加3名)。兼題、自由吟とも一人3句ずつ選びました。

 なお、次回句会は3月19日(木)18:30〜エポック10(豊島区勤労福祉センター3階ロビー)で。兼題はケータイ(スマホでも可)、自由吟と合わせ各3句まで。投句締め切りは、3月12日(木)24:00。
 投句受付はこちら

●兼題「新聞」
・3点句2句
ゴミ箱の原稿にだけある事実         斗周
→裏側にある真実をえぐる。

新聞とテレビを見ない心地良さ        わかち愛
→実感。同感。気持ちはわかるがさらに穿ちたい。

・2点句9句
記者はペン上司消しゴム持っている      斗周
→記者と上司の関係をうまく詠んだ。漫画チックな風景。

最大のタブー天皇より総理          なずな
→メディアの安倍タブー批判として秀逸。

負けるなと毎朝声をかけて読み        笑い茸
→がんばる新聞に声をかけたい。声をかける相手は自分でもある。
 句会では作者より、毎・朝・読を入れ、毎日、朝日、読売の中で
 苦労して頑張っている記者への励ましの句で「毎朝に大本営を読
 む空気」と対の句だったとの説明あり。

テロリスト御用御用と書く御用        芒野
→御用新聞と岡っ引きのご用をかけた。

会食を重ねペン先丸くなり          奥徒
→視点は目新しくないが、うまいまとめ方。

各紙ともスポーツ欄だけ活気あり       今 明
→たしかに。中八はできたら避けたい。

この記事も官邸というフルイかけ       白眞弓
→「フルイ」がおもしろい。今日性。

ゲンダイをつまみに憂さを晴らす日々     一志
→日刊ゲンダイのこと。本当のことを伝えるゲンダイに溜飲を下げる。

一行の見出しで世論上下する         ぶちの駄馬
→そのとおり。表現のうまさ。

・1点句6句
権力にさわれば紙にたたりあり        奥徒
→神と紙をかけた軽いノリがいい。

真実を書いて右から消している        中仁也
→朝日新聞。

また聞きの戦場記事のリアリティー      白眞弓
→これをしもリアリティーか、という問い。

原稿は右寄せにして下版する         斗周
→比喩の妙。

生まれた日さして目立った記事も無し     しゃねる
→共感もてる。凡人の悲哀。

新聞に覚悟を迫る時代急           乱鬼龍
→世の中きな臭い。新聞にも覚悟が必要。

<乱鬼龍選>
最大のタブー天皇より総理          なずな
テロリスト御用御用と書く御用        芒野
ゲンダイをつまみに憂さを晴らす日々     一志

・選外
官僚も記者政治家も同窓生
新聞を見たくない日々アベやめろ
新聞は当世風を写し出す
新聞の裏の読み方学んでる
部数減官報広報金出さん
民不在読むのは官僚記者クラブ
しんぶんを読む気になれぬ暗い朝
安倍さんにマイクのように銚子向け
暗闇の隅に小さく光る記事
新聞は書かぬ書けない書く気ない
漫画しか見るとこの無い大新聞
よいニュースなしせめて貧者の一灯を
ベタ記事の隠れた事実探し出す
ボツ原稿集めて出せば売れるのに
確実にいつか来た道ゆくメディア
一斉にアベを守ったマスメディア
マスゴミは弁当包む器量なし
スマホでは物が包めず紙を買い
日本の政府新聞常癒着
新聞の座を奪いとるレジ袋
新聞が冬の時代に入ってる
権力に屈し戦意の旗をふる
五十代以上の広場声の欄
ブル新はすぐにブルブルペンを曲げ
新聞の名前変えます旧聞に
政権の賛美で埋まる醜聞紙
真実をすかして見せる新聞紙
ペン先で斬っても絶えぬ罪と罰
毎朝に大本営を読む空気
新聞の寒い記事読む暖房器
古記事に時を忘れる畳替え

●自由吟
・4点句1句
嬉々としたテロ対策に次の危機        奥徒
→安部批判。うまい句。「テロ対策が」としたい。

・3点句1句
ピケティに言われなくても貧乏人       乱鬼龍
→おかしみがよい。生活者の実感。

・2点句6句
人道のコインの裏にある非道         笑い茸
→コインの裏表という発想に一票。使いふるされた表現。

被曝死か餓死か戦死か獄中死         草地
→この世ではいずれにせよろくな死に方はできない。ちょっと極端。

テロリスト育てた国が被害づら        一志
→反テロ連合の欺瞞を突く。「国の」にしたほうがいい。

責任をとりますという無責任         斗周
→安倍首相。語呂の合わせ方がいい。

打ち上げた花火のあとの暗い闇        中仁也
→意味深な句、いろんな解釈が可能

トリクルダウン貧民みんなダウンする     乱鬼龍
→笑っちゃう句。上句の字余り、この程度は許される。

・1点句10句
死んでから確認急ぐ誠実さ          斗周
→人質事件の政府対応をうまく風刺。

改憲に弾みがついたと声がする        しゃねる
→人質事件。実感。

得意げにばら撒いたのにこの結果       今 明
→中東訪問。

安倍辞めろ原発作るな武器売るな       芒野
→そのとおりだが、スローガン。

積極的報復主義と本音見え          奥徒
→平和を報復にかえてうまい。

アベが出る画面に向いバカヤロー       一志
→実感だが、乱暴。

人質のいのち砂漠の砂の粒          白眞弓
→反テロ連合の人命軽視を巧みに。

憲法無視首相主犯のクーデター        芒野
→首相はクーデターを起こさなくてもやれる。川柳的にはOKな表現。

昔から敵の味方も敵のうち          しゃねる
→安倍の中東訪問の本質を喝破。

血の闇に消せぬKENJIの志        中仁也
→追悼句として残る句。表現もうまい。

<乱鬼龍選>
嬉々としたテロ対策に次の危機        奥徒
積極的報復主義と本音見え          奥徒
血の闇に消せぬKENJIの志        中仁也

・選外
政権が憲法の上安倍政治
被爆者が死んで安心して調査
子や孫もテロにいのちを差出され
死にそこね戦争語る歳になり
闇からの悲鳴をきかぬ国の闇
新聞のタダにだきない大誤報
嫌な世になってきましたテロの国
父親を彼と言う子の背の広さ
謝罪なし名だけ最高責任者
新聞を斜め読みして裏が見え
この国はすでに戦時下それを討つ
憎悪這い報復みちる黙示録
毅然たる態度が敵をまた作り
それぞれの赤着て叫ぶ戦争反対
報復の鬼を払えと豆をまく
毒集め除染掃除と呼ぶ欺瞞
トンブロック下の海藻の悲鳴聞く
気合い入れ今年の夢も正社員
身勝手な世間への詫び無用なり
フクシマの難民放って中東へ
報復が報復を呼びその果てに
この星に正義はひとつ殺すなと
血の臭い眼にこびりつくユーチューブ
自民党戦時体制まっしぐら
報道の自由に挑む秘密法
安倍さんよ目覚めてほしい奇跡でも
人質を盾に進軍ラッパ吹く
問うべきはテロリストらの胸のうち
七十年前の自分を思い出し

(報告:なずな)