2015年7月句会報告

 今回は合宿しての句会だったため、ゆっくりと句を味わいつつ、批評の批評、つまり選句の目の付け所についても、学ぶ時間があった。
 そのため点が入りながら批判的な講評を受けた句もあった。ありのままに記すように心がけたが、録音なしのメモなので不十分なところは、お許しください。
 投句者:14名(うち新人1名)
 兼題:とき40句、自由吟40句

 句会出席者:10名 うち1名はメール参加。一人3句づつ選びました。今回は、初めて7点句がありました。

★「とき」★

☆7点句 1句
時々は思いだせよと不発弾          ぶちの駄馬
 簡単な言葉でドキッとさせられる。最近でも、新宿西口などがあり、年間100件見つかり、完全除去に70年かかると言われている。既視感があり、手慣れた感じ。「赤とんぼ時々は思い出してね」など。戦後70年と思えば思えるけど、今日性に乏しい。

☆4点句 1句
渡良瀬を振り返り見る浜通り         笑い茸
 足尾と福島、選んだ自分には、分かるが、普遍性はどうか。目に見える。綺麗すぎる。中味が薄く、突っ込みが不足。「振り返り見る」が弱い。

☆3点句 1句
憲法が総理を攻める熱い夏          なずな
 今日性がある。今の動きは、あたかも総理が攻めているようだけど実は、という世相を的確に表している。もう一票あったらこれに入れた。

☆2点句 3句
18歳投票用紙が赤紙に           十姉妹
 18歳と頭にとって、権利と赤紙の対比、戦争と権利が一緒にあるのがいい。「赤」とは、直接的過ぎる。

一分の遅れいちいち詫び要らぬ        斗周
 要求していない「詫び」を言って、気持ち悪い感じがよく出ている。もう一つひねりが欲しい。この言葉は、会社に言わされていると思う。1分の遅れも、詫びなければならない…現場の上下関係の哀れを感じる。

万年後を憂い始めてまだ四年         斗周
 なるほどそうだよな、万年単位の収束から見れば、まだ4年だという共感。上句は字余りなので「を」を取ってもいいのでは? 上句の場合、そんなに厳しくなくてもいい。定型が分かってこその崩しだから、むやみと字余りにするものではないが、この場合はいいのでは。作者ご本人より後に、次の話がだされました。《この句に「を」を入れて破調にしたのは、誤読のおそれがあるからです。「万年後憂い始めて」だと、「万年後に憂い始めて」の意味にもとれます。全部を読めばそうではないとはわかるものの、ここは「を」を入れるべきだろうと判断しました》。

☆1点句 10句
明治後の不戦期間を更新中          しゃねる
 明治以来、10年毎に戦争していたが、太平洋戦争のあとは、世界でも珍しい70年も戦争していない。それを更新している。分かりにくい句だね。

国会は勝手に決めるロスタイム        奥徒
 報告川柳ですが、ロスタイムという言葉で生きた。

元特攻国会前の断腸の声           白眞弓
 いい句かといえば疑問だが、特攻だった人が今国会前に来ている姿。575にまとめる苦労をしたらいい。

時が経ち加害の歴史美化される        越前海月
 その通りといえばそうだが、今実際にそうされているという、危機感。

戦時下と見れば全てが見えてくる       乱鬼龍
 面白い句と思った。具体的にイメージできるものがあるといい。

戦死者が国会包囲敗戦日           なずな
 そうですか川柳。もう一つ何かがないと。

70年経ちて骨らも国会前           白眞弓
 同相の句があるが、その中で一番いい。骨(コツ)もブラックで、怖い。

年金がもらえる頃は英霊なり         十姉妹
 自嘲っぽい上手さがある。なぜ「なり」としたのか?

もういくつ寝るとボクラは少国民       十姉妹
 面白い句。ますます戦争が近づいたことを表している。

決めるべき時を脅しに三か月         なずな
 「国会は勝手に決めるロスタイム」と同じだが、淡々と言っていて怒りがない。今日的である。三か月が分かりにくい。

☆乱鬼龍選
憲法が総理を攻める熱い夏          なずな
万年後を憂い始めてまだ四年         斗周
70年経ちて骨らも国会前          白眞弓

☆選外
九条が老いていますと変えたがり
古希迎え因果応報この首相
空白の時は記憶の昨日今日
時流に身をまかせたらこのしまつ
絶望を超えて希望の種を蒔く
私にも明日が来るのはいつですか
白バラが返り咲いたかシールスたち
寂聴が遺言遺すいま止めよ
戦前にタイムスリップする戦後
一日一生その寸秒を惜しむ日々
時まさに戦争前夜嘘の雨
戦争の放棄を誓う赤い波
時は今主体の力こそ問われ
時はタダ聞いて寝たきり砂時計
崖っぷち悔いなき声を上げる時
時たてど癒えぬ傷口戦争禍
時を経て戦犯の孫また総理
米びつの底を見ながら思う明日
三月の十日に戻せ責任者
真実があやふやにされ70年
若者が体鍛える時がきて
もういくつ寝るとボクラは少国民
石筍に触れて我が身の低さ知る
ときは今選挙を待っていられない

★自由吟★

☆4点句 1句
十八を待つ戦場と投票所           奥徒
 類句があるが、18歳と戦場は、まさに旬の句。今年を記録する句となるだろう。

☆3点句 3句
夏祭りいっそ反戦デモにする         なずな
 これを読んで、今の若者を応援したくなった。「夏祭り」という切り出し方が、今の時代の場面を言っている。シールズの3000人に、夏祭り的要素がある。光景の見える句。

学生の眠りさました安倍事態         一志
 「夏祭りいっそ反戦デモにする」と共通するが、「安倍事態」という言葉が面白い。「泰平の眠りを覚ます上喜撰……(江戸時代の狂歌。掛詞になっている)」からとったか? ここでは「眠りをさます」の方がいい。「事態」は、文字で見ないとわからないという、意見も。

戦場へ早くしろよとせかすヤジ        中仁也
 安倍さん中心の醜い姿が見える。ひねったところがないが、下品な姿を彷彿とさせるところがいい。せかす自民の状況を表現している。

☆2点句 4句
米国に殉じて君は靖国へ           十姉妹
 アメリカと靖国を合わせているのはいい。日本の資本が戦争をしたいのでは?とひっかかった。

防犯のカメラ自由を監視する         ぶちの駄馬
 JR新宿駅で500台のカメラがある。そのカメラが冤罪を作っている。防犯、セキュリティと思わされているが、自由を監視していることを言っている。

作家とはこんな程度か百叩き         乱鬼龍
 百田尚樹さんのことを言っている。一方で、リベラルな勉強会が潰されている。

翁長氏が首相に見える慰霊の日        一志
 そう見えた。どちらが上に立つ人か。

☆1点句 9句
ホルムズで消える手相の生命線        笑い茸
 手相の生命線と、ホルムズ海峡の生命線を掛けているのが面白い。

軽口で舌は本音を言いたがる         斗周
 上手い表現。そうだよね。

憲法も学者もキライ除去したい        奥徒
 キライ→嫌い、機雷を掛けて洒落たのがいい。

新聞を潰す相談漏らすなよ          白眞弓
 安倍さんを支持する密談は、漏らすな。だけど漏れちゃった。「洩らすなよ」の表現か柔らかくていい。

街中を仕込み杖持つ法が行く         笑い茸
 仕込み杖という言葉が秀逸。怖い本態を隠して堂々と行く。

沖縄紙たたいてみたらシーサーに       十姉妹
 今の状況。叩いたつもりが、県民が立ち上がった。それを、シーサーで表している。

憲法も詳らかには知らぬ由          斗周
 ポツダム宣言を詳らかに読んでいなかったことを皮肉った、面白い句である。憲法にも、ポツダム宣言が盛り込まれている。

違憲です学者の意地が流れ変え        一志
 これまで学者が批判されていたが、その人たちが流れを変えた。「学者」を批判の対象にして来たが、意地を通してきたのかも。そうですか川柳では。

群れ漁る新国立の甘い蜜           中仁也
 オリンピックの句がこれだけだった。財閥が買い取るという、うわさを言うか? (ドームが老朽化しているので、讀賣が買い取るという、うわさもある)。

☆乱鬼龍選
米国に殉じて君は靖国へ           十姉妹
十八を待つ戦場と投票所           奥徒
夏祭りいっそ反戦デモにする         なずな

☆選外
冗談と聞き呆れてる耳のタコ
レッテルをはいだ跡にも安倍の顔
釈明の中に本音が透けて見え
千葉県の南北格差伊国並み
ビリケンの頭が武器に見えてくる
叩かれても叩かれても通す法
教会の余韻残して離婚する
ヒンコンのウズの上に舞うバブル
底辺のかける高さのない死角
肝ぬきと言ったその人毒まみれ
懲らしめる昔中国いまマスコミ
汚染地に帰って来いという乱暴
不正して娘と共に運転士
横暴を決断力と呼ぶ御仁
世直しと自分直しの総がかり
A氏に告ぐ声なき声も反対派
武器向ける先には罪無き命たち
新京成旧陸軍の演習線
三猿を決め込む君の戦死公報
悪鬼安倍どの面下げて慰霊の日
福島の沖の魚も千葉県産
償いを大きく求める温暖化
九十五嘘八百を通すまで

報告:笠原眞弓