11月句会報告

 今月の句会は久しぶりの方、初めての方などで、これまでの最高の20名。
 兼題の「本(書籍)」は54句、自由吟は53句、それぞれの投句がありました。
 選句に集まった人は12名、メール参加が2名の計14名でした。人数も句も多いとそれだけ楽しいので、今後も投句を続けていただきたいし、また新規の投句もお待ちしております。

 兼題「本(書籍)」と自由吟を各自3句ずつ選びました。

<本(書籍)>
4点句
公共の図書に営利の蔦が伸び               笑い茸
  「蔦が伸び」の表現がいい。ツタヤの事を言い当てている。

アマゾンに町の本屋が水没し              奥徒
  アマゾンで頼む人が50%になると、日本の本屋が無くなる。

3点句
歴史書が国の汚点にふたをする             ぶちの駄馬
  その通り。

教科書も読めず少女は自爆テロ             中仁也
  心を向けないと詠めない。女性にも学ぶ権利をということが、痛切に伝わる。

放っとくな本焼く国は人も焼く             芒野
  先まで読み切っている。2次大戦の頃のことからの予言。

2点句
こんなとこに赤線引いて若かった            斗周
  学生時代は神保町の古本屋街をうろついていたが、そんな時代が懐かしく思い出させてくれるほのぼのとした良い句。

ナンバーでチェックされそう読書歴           奥徒
  ナンバーで発想する人も多いが、この句はユーモア的な感じが良い。

駅前のシャッター本屋があった場所           しゃねる
  地方に行くと本屋がない。まず、本屋からなくなる感覚がある。

育児書の要らない猿の慈しみ              ぶちの駄馬
  人間にあきれる日々。

明治から考えねばと本の山               織淳
  敗戦70年よりも、明治から問い直すべき。

読書人減らぬは塀の中ばかり              一志
  皮肉がよく効いている。

戦争へ本も雪崩を打ってくる              乱鬼龍
  予言のようである。

1点句
書を捨てて街行き餓死の国               黄金餅
  学生時代に流行った惹句で、うまく川柳に取り込んでくれたと感動。

文庫本読む人がいるこの電車              織淳
  絶滅危惧種。

反戦本過激派指定で閉架され              草地
  「はだしのゲン」を思い出させる。

本棚を飛び出しデモへ鶴彬               笑い茸
  肉体を殺しても、魂は死なない。

図書館に地を吸うツタが絡みつき            奥徒
  地は血の誤変換。

本棚で出逢った若き父の夢               ひろこ
  実際にあったこと。人によって、思いは様々。

本が好きやっぱり本を読む老後             わかち愛
  残り少ない老後は本に埋もれて過ごしたい思いが伝わる。

マイナンバー本のチェックも思うまま          乱鬼龍
  類句を並べれば、「されそう」もっと進んで言い切っていていいのだが。

借りた本履歴使って国が読み              ひろこ
  自分の頭の中を見透かされる。ブラックで、今後ありそうで……。

真新しいタブレット手に新入生             しゃねる
  学問教育の様変わりを象徴する風景。実際に見た。

嫌韓の次はシールズ民主本               一志
  3点句にも類句がある。ジュンク堂書店のこと。

乱鬼龍選
公共の図書に営利の蔦が伸び               笑い茸
明治から考えねばと本の山               織淳
放っとくな本焼く国は人も焼く             芒野

選外句
  ・奥付の署名が語る二昔
  ・飴色の紙に書き入れ時の声
  ・本年も読書の季節やって来た
  ・平積みの日本語劣化サンプル堂
  ・学校の図書館司書が増えませぬ
  ・コーナー組潰す圧力世の荒み
  ・鳴くわりにすぐ眠くなる本のむし
  ・自治体も本屋大学自主規制
  ・本だけで知りたい戦争いつまでも
  ・積み上げて満足している本の山
  ・アベさんの本棚ちょっと見てみたい
  ・いつの間にかツタヤ国会図書館前
  ・借りた本チェックされるよマイナンバー
  ・本好きは入れてもらえぬアベ内閣
  ・核・安保積ん読本がエベレスト
  ・古本 のページに隠す宝くじ
  ・手軽さとともに中身も軽くなる
  ・階級に線引きのある本開く
  ・ほんものの本の虫になれ本望だ
  ・仕事卒え扉を開き旅に出る
  ・書肆探検智の深さこそ明日拓く
  ・趣味ひとつ古本めぐり旅に出る
  ・反戦本今なら本屋でまだ買える
  ・メルマガは閉店時間無い本屋
  ・贈呈の文字を見つけて捨てられず
  ・若越で本買占めが横行す
  ・本燃やす時も近いか反知性
  ・つたや選図書館通う男子増え
  ・ノホホンと本を枕に昼寝する
  ・頭の中アマゾンだけが知っている
  ・ビール開けページをめくる風過ぎる

<自由吟>
5点句
民主主義土台の杭が足りてない             芒野
  喫緊の話題をうまく読み込んでいると感心した。

3点句
武器だけじゃ売れぬ兵士も必需品            笑い茸
  鉄砲だけでは売れぬので、兵士もセットで売る。

玉砕を活躍に変え再稼働                中仁也
  冗談で無くこんなことになってしまいそうな世の中ですね。

下着ドロ国家ドロから選ばれて             一志
  敵もいよいよ人手不足だな。

2点句
美しき国の路傍で眠る人                黄金餅
  この国の現状を指している。

独裁を決める政治と言い換える             越前海月
  「決める政治」という言葉を、独裁と認識できなかったことを反省している。

秋刀魚より戦時がニオウ秋が冷え            乱鬼龍
  秋を時と読むか。

戦後70年沖縄戦はまだ続く               乱鬼龍
  日本政府が、ウチナンチュに、泣き寝入りを強要している様子を言い表している。

五千人見殺しにされた佐田岬              織淳
  特徴的に細い、愛媛県の佐田岬半島が、伊方原発の再稼働により危機に瀕している様子を指している。

アラ野暮ねデート毎月19日               白眞弓
  2015年9月19日、安保法強行「採決」。毎月19日は、安保法に関する行動日と決まったことをいっている。知る人だけが知っている?

1点句
政治的そういうあなたセイジテキ            なずな
  「政治的」という人ほど政治的である様を言っている。

シュレッダーかけてあげましょ社長さん         白眞弓
  「アリさんマークの引越社」のことを指している。罰としてシュレッダー係りにしたことを皮肉っている。

死の床でひそかにゆびおるゴーシチゴ          やせ蛙
  川柳にかけた思いが素晴らしい。

税でなく寄付金で買えオスプレイ            織淳
  寄付金だったら集まらない?!

新九条新がつくのに古くみえ              一志
  小林節氏や、今井一氏が言っている。古い。

伐採し建てた施設をエコと呼ぶ             草地
  実際に見た。日の出町のゴミ処分場のことを言っている。

原因も対処も知らず再稼働               芒野
  事故の際の避難計画すら立てていないのに、原発の再稼働に邁進する様子。

二千万死なせた人を拝む人               中仁也
  靖国神社に参拝する人を指している。

棄却する裁判長の鬼の声                わかち愛
  テント裁判の控訴審だが、本当に、鬼の声に聞こえた。教える立場から言うと、このことは、教えるのが難しい。

丁寧な説明とっくに死語となり             しゃねる
  素直な句。面白い。当たり前すぎ。

企業理念説いてた昔が懐かしい             しゃねる
  中八。推敲不足の感がある。理念より倫理のほうがふさわしい。

TOKYOもテロに備える町にされ              笑い茸
  「され」というところが意に反していることをあらわしている。

地の底は見えない嘘の処分場               奥徒
  発想がいい。

産めふやせ求ム鉄砲かつぐ子を             黄金餅
  露骨な少子化対策。

皆保険知ってめざめた愛国心              一志
  日本に生まれてよかった。

マジですか企業研修自衛隊               笑い茸
  学校のこと。自衛隊こそ、ブラック企業的なところなのに。

乱鬼龍選
武器だけじゃ売れぬ兵士も必需品            笑い茸
玉砕を活躍に変え再稼働に               中仁也
地の底は見えない嘘の処分場              奥徒

選外句
  ・生と死はただあざなえる綱と知る
  ・ブックオフルイヴィトンまで並べてる
  ・ロケットの炎が夢を押している
  ・ペテン師の彼を信じて再稼働
  ・この国の傾斜気になるお隣さん
  ・沖縄の自己決定権工事止む
  ・幹事長総理禅譲狙ってる
  ・暗闇に発破の砂塵肺叫ぶ
  ・契約の終わるその日に死ねるなら
  ・ワイドショー代執行とはゴミ屋敷
  ・嬉々としてオタク乗り込む米空母
  ・地底にもデーターという魔物棲み
  ・戦争がしたくて安倍は身悶える
  ・空母をかじると歯茎から血が出ませんか
  ・晩年が忙しいとは知らなんだ
  ・150点満点中67点の模擬テスト
  ・20ミリ癌になっても知りません
  ・「平和の日」などという名はつけさせぬ
  ・子育てを本気になれず苛め出す
  ・この国の傾斜不安が増している
  ・享年を越えて踏み出す父の先
  ・民主主義永田町ではお葬式
  ・読点のひとつも打てず忙しい
  ・押し売りをされて日本を売り渡し
  ・緊張感今咳すれば負けになる
  ・トイレ無し言われ続けて40年
  ・不要だと尊厳を屠す黒いアリ
  ・暗闇に発破の砂塵肺叫ぶ

(報告:越前海月)