1月句会報告

 1月句会は、投稿者16名、総投句数80句でした。
 兼題は「戦争」と自由吟。

「戦争」

2点句
この弾の奪う命も母が産み         白眞弓
→普遍的な反戦の意思表示/銃口の向こうに兵を産んだ母がいると思わせる/情緒的
大空や海にも線をひく戦          春爺
→宇宙から見た地球の国境/航空識別圏のこと。線を引くだけで戦争になるくだらなさ
ハケン先いまは原発つぎ戦場        一志
→下層労働者の就職場/嫌なところに底辺の人が行く/必ずしも兵士としていくわけではない
芋のツルたぐれば父の戦死報        ぶちの駄馬
→銃後には食糧難、出征には死。たぐればが象徴的/情景が目に浮かぶ
戦争を積極平和と誤変換          奥徒
→「誤変換」が新しくていい/今日性がある
戦争の顔がだんだん見えてきた       やせ蛙
→正体を隠していることを顔とうまく表現。どんどんのほうがよいかもしれない/安倍内閣になって戦争の実感あり
鬼にみせ征伐したい桃太郎         笑い茸
→外敵を作り憎しみを煽る手法を桃太郎になぞらえた面白さ/鬼にみせという言葉がよくわからない/何かを見せると誤解した/中国や北朝鮮を鬼に見立てる安倍政権/芥川の解釈になぞらえたか
愛国と国益で征く死出の旅         乱鬼龍
→無駄に死なされる情景が浮かぶ/戦争のことをよく言い当てている
戦争を言い出す奴は生き残り        黄金餅
→戦争を言い出す人間のずる賢さをよく言い表している

1点句
文明の利器戦争で進歩する         エチゼンクラゲ
→皮肉な現実/あまりにも当たり前/すでに常識になっていること
カラオケの軍歌の声がでかくなり      やせ蛙
→カラオケは象徴として使っているのか/「カラオケ」「軍歌」「声」と意味の重なりがありもったいない
戦犯が次の「英霊」待ちうける       なずな
→安倍と岸と重ねて今日性あり
抑止力戦争準備の合言葉          勢子船
→抑止力を強調する政府
兵になる子供足らぬぞ生め増やせ      やせ蛙
→産め増やせという割には産めない環境
戦犯に孫が誓った倍返し          奥徒
→流行語を使って面白い/岸と安倍

その他
デモはテロさあ戦争と吠える犬
勇ましくけしかけるやつ安全地帯
本物の戦争はかっこ良くない
戦前へ反動特急でタイムスリップ
安倍政治富国強兵治安維持
積極的平和壊しとしか見えず
墓碑銘にカラシニコフの名を刻み
わだつみも混じり議事堂にらむ天
皇居前武装行進初の夢
瀕死の地球に戦争は無用
日の丸を立てて赤児の虐殺も
戦さから逃れて生きていまがある
血まみれの銭で幸わせ買えますか
戦争は迷彩服でやってくる
これでよしあとは戦争待つばかり
戦争を憎しみながら神仏
戦争がし易くなった秘密法
異次元がダメなら次は軍拡で
戦犯の遺伝子遺す秘密法
征き征きて友の屍は践むまいぞ
美しい国の望みは英霊ぞ
戦前より前へ戻って行きそうな
太陽神戦に命燃やしてる
戦争が招く災厄数多あり
耳澄ませ「英霊」たちの慟哭に
正義説く本音を見れば金儲け

乱鬼龍選
戦犯が次の「英霊」待ちうける       なずな
戦犯に孫が誓った倍返し          奥徒
戦争を積極平和と誤変換          奥徒


自由吟

5点句
底冷えの街で人権凍死する         乱鬼龍
→冷え冷えとした雰囲気がよく出ている/ホームレスに限らず世間全体を描いている/「人権が凍死」が新鮮/ホームレスととりたい/行政によるホームレスの叩き出しを連想させる

2点句
札ビラで辺野古の海を埋め立てる      なずな
→金で埋め立てるという表現がよい/絵的な面白さ/「札束」の方がよかった
時々はこける馬の背家族乗り        ぶちの駄馬
→ほのぼのとした初春の句として頂戴した/しみじみとしたいい句
一票の重さ軽さにうっちゃられ       乱鬼龍
→大衆の意識の低さを言ってるのかもしれない/重さと軽さという別文脈の言葉をうまく対比したうまい句/仲井真の裏切りを連想した
断層の死活診るのに金の脈         笑い茸
→断層の脈と金脈をかけた面白さ
残虐を自虐と云ってヘイトする       勢子船
→言葉の対比が面白い/昨今の右傾化を的確に捉えている

1点句
選ばれた気がして子供育ててる       ぶちの駄馬
→「子は親を選べない」という常識に対抗するかのような親の愛が見事
税対策うちの重役派遣です         白眞弓
→重役を派遣という税対策か。面白い/面白いが「税対策」でちょっと説明臭くなった
安全と机の上に建てて見せ         笑い茸
→机上の空論にかけて原発の本質をついた
靖国に参詣脳は神の国           勢子船
→安倍の頭の中
魑魅魍魎脱原発のふりをする        斗周
→都知事選を突いてて面白い
札束に千々に乱れて目が眩み        奥徒
→知事と千々の駄洒落はすでに耳タコ
スマホ族眼と指やられ味噌も減り      一志
→年寄りの恨みを描いて面白い
老害も脱原発を説く時代          一志
→老害でも脱原発を言わざるを得なくなった
初日の出毒を呑み込み立ち昇る       笑い茸
→初日の出がセシウムを含むさまざまな毒を呑み込んでいるよう

その他
失望の嵐を衝いて九段坂
顔でなく民の足元見るお上
今日の官兵衛ありや安倍打倒
恥知らずお腹痛くて辞めた人
札束で買えぬ命を脅しつけ
お守りの数が多くて神嫉妬
ありがたや 今年もおがめる初日の出
悪法をゴリ押しするのが違憲国会
レストラン昔失恋今偽装
アベノミクス信じたけれど貧乏に
レールの上脱線ばかり計画書
自由から逃げ出す人の愚かしく
秘密保護あなたの言論保護されす
ホントウの争点が出てうろたえる
大海の小さな棘で大出血
国へ向けヘイトスピーチしたくなり
元総理出馬禁止に新憲法
秘密法都知事のおかげ成立す
五千万五輪にはめて返すもの
遺すのは特定秘密と核のゴミ
東京を変える船出の午の春
六・三・三卒業しても三・三・三
なんでやと骸を包む声と声
安倍暴走天皇・殿もご乱心

乱鬼龍選
靖国に参詣脳は神の国           勢子船
魑魅魍魎脱原発のふりをする        斗周
断層の死活診るのに金の脈         笑い茸

(報告:斗周)